欧博ミャンマー大地震 “死者3000人以上に” 国営テレビ
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ミャンマーの国営テレビは2日、ミャンマー中部で発生した大地震で全国でこれまでに3003人が死亡し、4515人がけがをしたと伝えました。また、351人の行方がわからなくなっているということです。
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マンダレー “マンション崩落の瞬間” 連絡取れない日本人居住か 投稿された映像の一部 再生すると音声が流れます
今回の地震では、ミャンマー第2の都市マンダレー中心部にあった11階建てのマンションが大きく崩れ落ち、住んでいたとみられる日本人1人といまも連絡が取れなくなっています。
ミャンマーの地元メディア「イラワジ」は1日、地震が発生した直後のこのマンションだとする、SNSに投稿された映像を公開しました。
1分50秒ほどの映像にうつっているマンションは、高さが6階ほどしかなく、下層階はすでに潰れているように見えます。さらに揺れが続く中、マンションの一部が崩れ落ちる様子や砂ぼこりが舞い上がり、辺り一面、何も見えなくなる様子がとらえられていました。
「イラワジ」は、このマンションの中にはいまも多くの住民が取り残されていて、救助活動が続いていると伝えています。
日本の外務省はNHKの取材に対し、行方がわからなくなっている日本人1人について、2日午後3時の時点で、まだ連絡は取れていないとしています。
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ネピドーのホテル 100時間以上たって男性救出
地震の発生から5日目となる2日、ミャンマーの消防は、首都ネピドーの6階建てのホテルに閉じこめられていた男性を発生から100時間以上たって救出したことを明らかにしました。
消防が公開した現場の映像には、多くの救助隊員が正方形にあいた穴を取り囲み、穴の奥に横たわっている男性に声をかけながら、慎重に男性を穴から出す様子やゆっくり担架にのせる様子がとらえられています。
ミャンマーの国営テレビによりますと、救助されたのは26歳のホテルの従業員で、ほかにももう1人従業員が閉じこめられているということで、救助活動が続けられていると伝えています。
各国の救助隊などによる捜索が続けられる中、日本の国際緊急援助隊の医療チームも2日、最大都市ヤンゴンに到着しました。
医療チームは医師や看護師ら32人で、すでに派遣されている調査チームと合流し、およそ2週間、被災した人たちの治療などにあたるということです。
活動する場所については、現地のニーズや治安状況を見極めたうえで、判断するということです。
隣国タイの首都バンコクで倒壊した建設中の高層ビルでは、これまでに15人が死亡したほか、いまも70人以上と連絡が取れておらず、2日も大量に残ったがれきを取り除く作業が進められていましたが、救助活動は難航しています。
倒壊したビルはタイの建設大手と中国の国有企業の現地法人との合弁事業として建設が進められていましたが、この中国の国有企業がほかにも複数のプロジェクトに関わっていたことが新たにわかり、タイ国民からは安全性を不安視する声もあがっています。
タイのメディアによりますと、倒壊したビルの建設に関わっていた中国の国有企業は、このほかにも別の企業との合弁事業として、空港のターミナルや学校の校舎の建設などタイ政府との間で10件以上の契約を交わしていて、タイと中国を結ぶ高速鉄道の一部区間の工事も手がけているということです。
タイのスリヤ運輸相は、今回の地震を受けて1日、この高速鉄道について建設資材などの安全点検を行うよう指示しました。
倒壊した高層ビルをめぐっては、タイの当局が現場から回収した鉄筋を検査した結果、一部の鉄筋が必要な基準を満たしていなかったことが明らかになっていて、ペートンタン首相は調査委員会を設置して原因の究明を進め、1週間以内に報告するよう求めています。
タイにある中国大使館は現地時間の1日夜、コメントを発表し「関連する中国企業が調査に積極的に協力するよう指導していくとともに、タイ政府が科学的かつ公正な調査結果を出すことを信じている」としています。
バンコクでは市民の間に不安が広がる中、地元当局が建物の危険度や耐震性を確認する検査を続けています。
1日は、バンコク中心部にある41階建てのマンションで検査が行われ、担当の職員がマンションの管理会社から説明を受けながら被害状況を確認しました。
このマンションには、日本人を含めたおよそ900人が暮らしていますが、廊下の天井がはがれ落ちたり、至るところで壁に亀裂が入ったりしていて、職員たちは、亀裂が入った壁を撮影するなどして、詳しく調べていました。
住んでいる部屋の天井に亀裂が入ったという50代のタイ人の女性は「問題がある部屋には住みたくないので引っ越したいです。もし、また地震が起きたら、絶対に引っ越します」と話していました。
バンコクには5万人以上の日本人が暮らしていますが、地元当局によりますと、バンコク市内では建物の被害が1万件以上、報告されているということで、自宅が被害を受けた日本人も少なくありません。
検査を行った担当者は「しっかり調査をすることでふだんと変わらない生活を送れるようになると思う。不安を取り除くため、なるべく早く調査を終えたい」と話していました。
南北にのびる「ザガイン断層」の一部が水平方向にずれ動いたとみられている今回の地震。
国土地理院が、地球観測衛星「だいち2号」がレーダーで観測した地表のデータをもとに地震の前と後の地盤の動きを解析した結果、震源に近いマンダレーの北から首都ネピドーの南にかけて、長さ400キロ以上にわたって「ザガイン断層」に沿うように地殻変動が起きていたことがわかりました。
2016年の熊本地震の10倍以上の規模で、断層の西側が北に、東側が南にずれ動き、変動の大きさは最大でおよそ6メートルに及ぶということです。
国土地理院地殻変動研究室の宗包浩志室長は「内陸の活断層で地盤が400キロ以上ずれ動いたのは、海外も含め、過去の大地震と比べてもかなり大きく、驚きだった。日本でも中央構造線断層帯のように水平にずれ動くタイプの内陸の活断層があるので、注意が必要だ」と話していました。
日本政府は、人道支援のため、600万ドル、日本円にしておよそ9億円の緊急無償資金協力を行うことを決めました。
現地では、医療や食料・水、それに教育環境の確保などのニーズがあるとして、政府は今後、関係する国際機関と調整を急ぐことにしています。
政府は、これまでにJICA=国際協力機構を通じて、生活必需品を被災地に提供することも決めています。
ミャンマーには中国やロシアなどの友好国をはじめ、各国が救助隊や医療チームを派遣し、被災した人たちの支援に乗り出しています。
このうちロシアは、大地震があった3月28日、120人規模の救助隊や災害救助犬などを輸送機で派遣したと発表し、その後も救助隊を追加で派遣しています。
また、中国は捜索や医療支援にあたるチームを派遣したほか、1億人民元、日本円にして20億円あまりの緊急人道支援を提供すると発表しました。
さらにインドからは軍の医療チームが派遣されたほか、食料やテントなどあわせて50トンの緊急支援物資が運ばれました。
このほか、ベトナムやタイシンガポールなど東南アジア各国も救助隊などを派遣したほか、アメリカやイギリスも支援を表明しています。
ロイター通信によりますと、ミャンマーで実権を握る軍の報道官は、中国の赤十字社の車両が1日夜、停止を求めた軍の指示に従わなかったため、警告射撃を行ったと発表しました。
報道官は、中国赤十字社が、ミャンマー側にその地域に入ることを事前に知らせていなかったとしています。
一方、中国外務省の報道官は2日の記者会見で、中国赤十字社の救援チームは無事だとした上で「ミャンマーのすべての関係者が救援活動を主たる任務とするべきで、救援のための輸送ルートは、妨げられないようにしなければならない」と述べ、救援チームの安全を確保するよう呼びかけました。
地震の被害を受けて、バンコクにある日本大使館の大鷹正人大使は1日、タイのアヌティン副首相と面会しました。
面会の後、取材に応じたアヌティン副首相は、日本側に対し、倒壊した建設中の高層ビルについてタイ政府が設置した調査委員会に専門家を派遣することや、災害時の警報システムの知見を共有することなどを要請したと明らかにしました。
これについて、大鷹大使は面会後「倒壊の原因究明についてわれわれができるサポートはしたい」と述べ、できるかぎりの支援を行う用意があると伝えたということです。
バンコクには5万人以上の日本人が暮らしていて、大鷹大使は、地震の被害状況について英語で発信するなど、在留邦人への支援を続けていくよう求めたということです。
国連のWFP=世界食糧計画の担当者は1日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンからオンラインの会見を開き「地震はミャンマーの人々にとって最悪のタイミングで起きた」と訴え、各国に支援を呼びかけています。
国連によりますとミャンマーでは4年前のクーデター後、軍と民主派勢力側との戦闘で、2000万人が人道支援を必要とする状況が続いてきましたが、WFPは地震の2週間ほど前に、各国からの資金不足によって、食料支援を大幅に削減せざるをえないと発表していました。
地震を受けて、首都ネピドーや第2の都市マンダレーなどで緊急の食料配布を始めているものの、資金が足りないため、ミャンマー各地の倉庫に食料の備蓄があっても、被災地に運ぶのが難しい状況だということです。
WFPの担当者は「今月中に85万人に食料と現金を支援したいがニーズは膨大だ。戦闘の終結と人道支援へのアクセスが妨げられないこと、そして、十分な資金が支援には欠かせない」と訴えています。
日本赤十字社とNHK、それにNHK厚生文化事業団は、ミャンマー中部で起きた地震による災害の救援金を1日からことし6月末まで受け付けます。
受け付け方法は口座への振り込みで行われ、ゆうちょ銀行・郵便局を利用する場合は、口座番号00110-2-5606、口座名義は「日本赤十字社」です。
振替用紙の通信欄には「2025年ミャンマー地震救援金」と記入してください。
日本赤十字社のホームページからインターネットでの寄付も行うことができます。
受け付けは、日本赤十字社の本社と各都道府県支部が窓口となります。
この救援金は日本赤十字社を通じてミャンマーやタイにおける救援・復興支援活動などのために使われます。