欧博allbetWHO「ヒトメタニューモウイルス感染症」中国で感染増も想定内
WHO=世界保健機関は7日、北半球での呼吸器系の感染症の流行に関する報告を公表し、熱やせきなどの症状が出る「ヒトメタニューモウイルス感染症」について中国で感染が増えていることが確認された一方、感染者の規模はこの時期に想定される範囲内だと明らかにしました。
「ヒトメタニューモウイルス感染症」は、熱やせきなどの症状が出る感染症の1つで、高齢者や乳幼児などが感染し発症すると重症化するおそれもあります。
去年の終わりごろから中国で拡大していると地元メディアが伝えているほか、インドやインドネシアでも感染が確認されています。
こうした中、WHOは7日、北半球での呼吸器系の感染症の流行に関する報告を公表し、このなかで、中国でのヒトメタニューモウイルスなどの感染状況について言及しました。
WHOは「中国の発表データでは、ここ数週間の間に急性の呼吸器感染症が増加し、特に北部でヒトメタニューモウイルスなどの感染者数が増えている」と指摘しています。
一方で「感染者数の増加は、北半球の冬のこの時期に想定される範囲内だ」として今後も中国当局と協力して監視を続けるとしています。
WHOのハリス報道官は7日、ジュネーブでの会見で「ヒトメタニューモウイルス」が新しいウイルスではないことや、かぜに似た症状を引き起こすものの、致死率は低いことなどを説明していて、過度な不安を引き起こすのを避けるねらいもあるとみられます。
中国政府で感染症対策を担う「中国疾病予防コントロールセンター」は、「ヒトメタニューモウイルス感染症」を含め、中国国内では呼吸器系の感染症が増加傾向を示しているとしています。
病院で、それぞれの感染症の検査を受けた人のうち陽性となった人の割合をみますと、12月23日から29日までの1週間では、
▽インフルエンザウイルスが圧倒的に多く30.2%で、前の週に比べて6.2ポイント増加していて、季節的な流行期に入っています。
▽2番目に多いのがヒトメタニューモウイルスで、検査した人のうち6.2%が感染していて、前の週に比べて0.1ポイントの増加となっています。
このほか、
▽3番目が、ライノウイルスで4.9%
▽4番目が、アデノウイルスで3.7%
の陽性が確認されています。
いずれの年齢層、地域でも、最も陽性率が高いのはインフルエンザウイルスですが、ヒトメタニューモウイルスについては、14歳以下の陽性率が上昇傾向にあり、中国北部の省で上昇傾向が顕著だとしています。
実際、陽性率のモニタリングが始まった去年11月中旬に比べると、ヒトメタニューモウイルスの陽性率は2倍余りとなっていて、疾病予防コントロールセンターでは、12月31日にSNS上などで症状や感染防止方法などの情報をまとめて公表しています。
疾病予防コントロールセンターは「呼吸系感染症の流行の規模は、昨シーズンよりも小さい」としていますが、1月下旬に始まる春節の休暇では人の往来が急激に増えるため感染リスクが高まるとして、手洗いやマスクの着用など対策を呼びかけています。
ヒトメタニューモウイルスはせきや発熱、鼻水などかぜのような症状を引き起こすウイルスで、国内でも1年を通じて患者が報告されています。
ほとんどの場合、症状は軽く、安静にしていれば1週間ほどで回復しますが、幼い子どもや高齢者などが感染するとまれに重症化して肺炎や気管支炎になることがあります。
専門家によりますと、このウイルスは感染した人との接触や飛まつで広がるため、感染を防ぐには手洗いやアルコールによる消毒、マスクの着用など一般的な対策が有効だということです。
感染症法では国への報告の対象とはなっておらず、国内の感染者数は詳しくわかっていませんが、国立感染症研究所によりますと、集団感染が起きた場合に各地域の保健所が行った調査などで毎年、数百人前後の患者が報告されているということです。
感染症の流行状況の調査を行っている大阪健康安全基盤研究所公衆衛生部の本村和嗣部長は「いわゆる『かぜ』を引き起こすウイルスの1つです。国内でもありふれたものでほとんどの人は10歳ごろまでに感染すると考えられています。今後、中国から旅行で来る人が増えれば、国内でも感染が広がる可能性はありますが、軽症ですむ人が多いはずなので過度に心配する必要はありません。外出したあと手洗いをしたり、人混みでマスクを着用したりといった基本的な対策が大事です」と話していました。