岩手 大船渡の山林火災 住宅など少なくとも84棟被害 市情報
【27日】岩手 大船渡の山林火災 消防・自衛隊の消火活動続く
岩手県大船渡市の山林火災、27日の情報です
警察によりますと、火災が起きているのは、大船渡市の赤崎町合足地区と、三陸町綾里の小路地区と田浜地区などです。
市によりますと、午後10時40分時点で、少なくともあわせて84棟の住宅などの建物に被害が出ているとみられるということです。
市によりますと26日午後5時までに600ヘクタール以上が焼けたということですが、現場では延焼が続いていて、警察や消防が逃げ遅れた人やけが人がいないか確認しています。
大船渡市は、三陸町綾里全域の850世帯2060人と、赤崎町合足地区の23世帯54人に避難指示を出し、小学校や公民館に避難所を設けています。
市によりますと、午後10時時点で市が開設した避難所と福祉避難所には、あわせて584人が避難しているということです。
岩手県の沿岸南部では今月18日から乾燥注意報が出されていて、27日も乾燥した状態が続くと予想されています。
宮城県と山形県の消防が「緊急消防援助隊」として現地に入っていて、消防は住宅の周辺などで夜を徹して消火活動にあたるほか、27日は天候を確認したうえで午前7時ごろからヘリコプターによる放水も行うことにしています。
岩手県大船渡市で発生した山林火災を受けて政府は、27日午前0時、総理大臣官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、被害状況の確認などにあたっています。
【動画 31秒】山林火災現場上空 午後7時ごろ
26日午後7時ごろに岩手県大船渡市の上空から撮影した映像では、赤い炎が複数の場所から上がっているのがわかります。
複数の建物が並んでいて、いずれも全体が赤い炎に包まれた状態になっています。
建物のなかには柱と見られる部分だけが残っているものもあって、火が燃え広がっている様子が確認できます。
大船渡市は午後8時から会見を開き、被害の状況などを説明しました。
市によりますと、人的な被害については分からないとしていて、建物などへの被害についても民家が多数被害にあっているとしながら詳細は把握できていないとしています。
市によりますと、火は西からの強風にあおられて現在も弱まっておらず、合足地区から北東に向けて延焼していて、地上から消火活動が続けられているということです。
大船渡市の渕上清市長は「消防団員とともに、地上からの延焼防止や家屋の消火活動を展開している。避難所では避難者に寄り添って支えるよう指示を出した」と述べました。
今回の山林火災を受けて、岩手県は26日午後5時から災害対策本部の会議を開き、大船渡市からの要請を受けて、午後2時に陸上自衛隊に災害派遣要請を行ったほか、全国の消防から応援を受けるため緊急消防援助隊の派遣要請を行ったことを明らかにしました。
会議で達増知事は「現時点では人的被害の情報は入っていないが、複数の住宅への延焼を確認している。大船渡市や関係機関と連携して、人命第一で、情報の収集と火災の早期鎮圧に努めていく」と述べました。
陸上自衛隊東北方面隊は、岩手県からの災害派遣要請を受けて、滝沢市にある岩手駐屯地から隊員31人と車両8台を岩手県庁や大船渡市役所などに派遣しました。また、仙台市にある霞目駐屯地にヘリコプターを複数待機させているということです。
岩手県は大船渡市の山林火災で、多くの人が危害を受けるおそれがあるなどとして、26日、市に災害救助法を適用することを決めました。
これによって、避難所の設置などの費用を国と県が負担します。
山林火災を受け総務省消防庁は宮城県と山形県の消防に対し「緊急消防援助隊」の出動を求めました。
このうち仙台市消防局は、総務省消防庁の求めに応じて、職員49人と消防車14台を現地に派遣しました。早ければ26日夜のうちに現場に入って消火活動や情報収集を行うということです。
避難所となっている大船渡市三陸町の越喜来小学校には午後5時の時点でおよそ110人が避難しています。
12歳の娘と10歳の息子とともに避難してきた45歳の女性は「職場から自宅に戻った時にはもう火の手が家のそばに見えていた。大切な子どもたちが無事でよかった」と話していました。
また、家族とともに避難してきた32歳の男性は「ここまで相次いで火災が起きるのは初めてだ。避難している途中、煙や木の焼けるにおいが立ちこめていて、自宅が無事か不安だ」と話していました。
山林火災の影響も出ています。東北電力ネットワークによりますと、電気設備への延焼のおそれがあるとして、午後6時時点で、岩手県大船渡市の赤崎町の一部と三陸町の一部のあわせておよそ400戸で、電気の供給を止めているということです。
また、山林火災の鎮圧のめどが立たないことから、市は27日、三陸町にある綾里小学校と、赤崎町にある東朋中学校を休校にすることを決めました。
総務省消防庁によりますと、山林火災を含む林野火災はおととし全国で1299件起きていて、このうち半数を超える679件が2月から4月に集中していました。例年、同じような傾向だということです。
出火の原因で最も多かったのが▽刈り取った草木などを自宅の庭や畑で焼却する「たき火」で416件と、全体の3割以上を占めました。
次いで
▽野焼きなどの「火入れ」が247件
▽「放火」や「放火の疑い」が98件
▽「たばこ」が49件
▽「マッチ・ライター」が32件などとなっています。
火災を防ぐ対策として、総務省消防庁は
▽枯れ草など燃えやすいものがある場所でたき火をしないことや
▽たき火などで火を使う際はその場を離れず使い終わったあとは完全に火を消すこと
▽強風や乾燥の時にたき火や火入れをしないこと
▽たばこの吸い殻の火は必ず消し、投げ捨てをしないことなどを呼びかけています。
火災のメカニズムに詳しい東京理科大学の元教授で、日本防火技術者協会の関澤愛 理事長は「岩手県などの太平洋側は2月から4月ごろにかけては晴れて湿度が低く、乾燥していることが多いため山林火災が起きやすい。下草や枯れ草が燃え、その火が木の枝や幹に広がると火の回りが速くなる」と指摘しています。
さらに山林は消防車などが入りづらいうえ、急斜面などで足場が悪く、ホースを伸ばしたり現場近くで水を確保したりするのが難しいため、地上からの消火活動は困難が多いとしています。
上空からヘリコプターで消火する場合も、火災現場と水を補給する海などの地点を往復するのに時間がかかるうえ、風の影響で狙った場所に放水するのも簡単ではないということです。
関澤理事長によりますと、国内で起きる山林火災のうち、およそ3分の2がたき火やたばこの不始末など人が火を使ったことが原因とみられ、例年 暖かくなって人が行動し始める春先に起こることが多いということです。
関澤理事長は「火を使わないことで、山林火災のリスクを大きく下げられるので、乾燥注意報が出ている時などは火を使うことは避けてほしい。万が一、山で火事が起きたときには、すぐに消防に通報してほしい」と話していました。
NHK防災 2023年11月16日