【大雪】東北 新潟 岐阜などで積雪増 7日は近畿 東海の平地でも大雪のおそれ
注目
目次を開く
目次
目次
注目
各地で雪強まり積雪増 48時間降雪量最多も
気象庁によりますと、日本付近は冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が流れ込んでいる影響で日本海側を中心に雪が降り続いています。
一連の寒波で、48時間の降雪量は岐阜県白川村で5日午後9時までに129センチと1983年に統計を取り始めてから最も多くなり、6日午後11時の積雪も2メートル56センチと平年のおよそ2倍となっています。
各地で積雪は平年を上回っていて、午後11時の積雪は
▽新潟県魚沼市守門で3メートル16センチ、
▽山形県大蔵村肘折で2メートル95センチ、
▽福島県只見町で2メートル80センチ、
▽新潟県上越市安塚で2メートル12センチといずれも2メートルを超えています。
また
▽青森市で99センチ、
▽北海道帯広市で83センチ、
▽福井市で35センチ、
▽鳥取市で22センチ、
▽石川県輪島市で19センチなどとなっています。
今後の見通しです。
7日の午後から再び強い寒気が流れ込み雪が強まります。
日本海側の山沿いに加え、ふだん雪の少ない近畿や東海の平地でも大雪のおそれがあることに注意が必要です。
7日夕方までの24時間に降る雪の量は、いずれも多いところで
▽東北と新潟県で80センチ
▽北海道と北陸、中国地方で60センチ
▽岐阜県で50センチ
▽近畿で40センチ
▽四国で25センチ
▽関東甲信で20センチ
▽九州北部で15センチと予想されています。
さらに、8日夕方までの24時間に降る雪の量は
▽東北、新潟県、北陸、岐阜県、近畿、中国地方で70センチ
▽関東甲信で50センチ
▽四国で30センチ
▽九州北部で10センチと予想されています。
その後も、9日夕方までの24時間に東北や関東甲信、岐阜県、近畿、中国地方の多いところで40センチから50センチの雪が降ると予想されています。
ふだん雪があまり降らない近畿中部や南部、それに東海の平地でも雪が積もるおそれがあり、7日夕方から8日夕方までの24時間には
▽大阪府や京都府南部などが含まれる近畿中部の平地で20センチ
▽愛知県の平地で10センチの雪が降ると予想されています。
また、全国的に雪を伴った非常に強い風が吹き、7日は東北や新潟県、北陸、九州北部で最大瞬間風速が30メートルに達するおそれがあります。
海上は、全国的に波が高くなって大しけとなるところがある見込みです。
気象庁は、大雪による交通への影響、高波に警戒するとともに、吹雪や着雪に伴う停電や倒木、雪崩に注意するよう呼びかけています。
落雷や竜巻などの激しい突風にも注意が必要です。
各地で大雪と暴風雪に警戒が必要な時間帯は、6日午前11時時点で次の通りです。
奥能登地域の4つの市と町には国道を含む県の管理する道路と市や町が管理する道路のうちあわせて44.7キロの区間で雪をとかす消雪装置が設置されています。
しかし、石川県や各市町によりますと能登半島地震で道路が被害を受けたことで、およそ9割にあたる41.6キロの区間で消雪装置が使えなくなっているということです。
▼輪島市では市内全域の7.5キロ
▼珠洲市では25.8キロのうち24.8キロ
▼穴水町では4.3キロのうち3.1キロ
▼能登町では7.2キロのうち6.3キロで
使えなくなっているということです。
消雪装置の大部分は今後、道路の本復旧にあわせて直していくということで、県や自治体はこうした区間では除雪機を使って対応しています。
このうち輪島市では被害の状況にあわせた除雪の計画を立てて、除雪車の出動を今シーズン、当日の早朝から前日の午後からに早めたり、住民がいない「長期避難世帯」を除外してほかの地域に除雪車を回したりしているということで、今のところ計画どおり除雪できているということです。
富山市では地下水の水位が低下し、観測している2か所の地点で基準を下回ったとして、富山県は「地下水位低下注意報」を発表しました。
地下水の低下は道路の雪をとかす消雪装置の使用が増えたためとみられ、富山県は地下水の節水を呼びかけています。
5日午前11時時点で奥田北では1メートル50センチほど、蓮町では60センチほど、それぞれ基準となる水位を下回ったことから富山県は、5日、「地下水位低下注意報」を発表しました。
富山県環境保全課は「地下水を利用している事業所や住民は節水を心がけてほしい」と呼びかけています。
福島県会津若松市では、住宅や会社などの駐車場には数十センチの雪が積もっていて、住民などが雪を乗せて押して運ぶ道具を使って雪かきに追われていました。
クリニックの駐車場で除雪をしていた70代の男性は「手作業で除雪するのですが、2日も続けて降ってしまうと本当に大変です。早い患者さんは7時半には来るのですがこの雪の量だと9時ごろまでかかるかもしれません」と話していました。
新潟県上越市では、6日、市内の2か所に雪捨て場を開設しました。
開設された雪捨て場には午前中からトラックが次々に訪れ、除雪した雪を捨てていました。
雪捨て場を利用した60代の男性は「雪を捨てないと除雪が追いつかない状況です。建設関係の仕事をしていますが現場の仕事と排雪の両方をやらなければならず大変です。もう雪は勘弁してほしいです」と話していました。
福島県只見町では毎年この時期に恒例の雪まつりが開かれていて、ことしは7日から3日間行われます。
JR只見駅前の会場では準備が大詰めを迎えていますが、この大雪の影響で雪像やかまくらの形が変わってしまったほか、会場やその周辺の除雪に追われています。
雪像の制作を手がけた地元企業の馬場大輔社長は「丸い形のかまくらが縦長になっています。雪が積もって見づらくなっていますが、雪像は完成度が高く仕上がったので楽しんでほしいです。お客さんが来るのが大変なので雪が収まってほしい」と話していました。
一方、大雪の影響で町内にある宿泊施設ではキャンセルが相次いでいます。
このうち、JR只見駅から7キロほどにある旅館では、8日から9日にかけての4部屋13人分の予約すべてが、雪の影響でキャンセルされたということです。
旅館の大塚さとみ専務は「毎年この時期は雪まつりの客を迎えていますがキャンセルになってしまいました。まつりで雪は必要ですが適度に降ってほしいです」と話していました。
今回の寒波は寒気が9日ごろにかけて断続的に流れ込み、影響が長く続くのが特徴です。
国土交通省の近畿地方整備局などは近畿や中部地方、福井県で大雪のおそれがあるとして先月10日を上回る規模で予防的通行止めを行う可能性が高いとして大雪が予想される地域へは外出を控えるほか、運行ルートの見直しを呼びかけています。
注目
建物の倒壊 雪下ろし中の事故に注意 気をつけることは “建物が耐えられる重さを超えるおそれ”
大雪による災害に詳しい長岡技術科学大学の上村靖司教授は、雪が降り続け積雪が増えると建物が耐えられる重さを超えるおそれがあると指摘しています。
上村教授によりますと、建物が耐えられる積雪の目安は
▽新潟県ではおよそ1メートル
▽首都圏では20センチほどだということです。
目安を超える雪が積もると損傷が始まり、小屋や車庫などは倒壊するおそれもあるため、決して近寄らないよう呼びかけています。
屋根の積雪でもう1つ懸念されるのが雪下ろしに伴う事故です。
上村教授によりますと、過去の雪の事故のうち雪下ろしなどに伴う屋根やはしごからの転落がおよそ6割にのぼるということです。
このため雪下ろしをする際は、
▽ヘルメットや命綱を着用すること
▽2人以上で作業を行うこと
▽はしごは屋根や地面にしっかり固定しはしごに乗ったまま作業しないこと
▽軒先からの落雪に気をつけること
▽緊急用に携帯電話を持つこと
▽見えない用水路に気をつけることを
徹底するよう呼びかけています。
特に、命綱を使う際は、体を頑丈なロープでつないだうえで建物に打ちつけた「アンカー」と結ぶことが大切だとしています。
また、屋根の端は、せりだした雪で分かりにくくなっているため、作業は屋根の中央付近で行うことで事故のリスクを減らせると指摘しています。
上村教授は「1週間ほどまとまった雪が降ると雪害のリスクが上がる。高齢者で1人暮らしの人もいるのでちょっとした声かけなどが事故を防ぐ意味では非常に有効で、そうしたコミュニケーションも大切にしてほしい」と話しています。
防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの中村一樹センター長は、日本海側を中心に広い範囲で雪下ろしが必要な積雪になっていると指摘しています。
さらに今後も雪が強まる見通しになっていることから、落雪に当たったり、埋もれたり、事故のおそれももあるとして十分注意するよう呼びかけています。
防災科学技術研究所が新潟大学などと共同開発したウェブサイト「雪おろシグナル」では、気温などのデータをもとに、1平方メートルあたりの雪の重さを推計して表示しています。
全く雪下ろしをしていない状況を仮定し、「空き家などが倒壊するリスク」や「建物崩壊がみられる重さ」など危険度ごとに色を分けて7段階で表示しています。
日本海側の山沿いを中心に雪下ろしの基準を上回る状況となっていて、例えば、平年のおよそ2倍の積雪となっている岐阜県白川村では、4日には村の中心部が「雪下ろしの基準」となる1平方メートルあたり300から500キロを示す「黄色」でしたが、5日には「空き家などが倒壊するリスクがある」1平方メートルあたり500から700キロを示す「オレンジ色」となっています。
中村センター長は「色が付くエリアが急に広がったという印象を受けた。特に北陸地方や中国地方では気温が0度前後で降るのが1つの特徴で、最初から少し重たい状態で降るケースも見受けられた」と話しています。
こうした状況で再び寒気が強まり、大雪が予想されています。
中村センター長は「さらに雪が積もるとより重たい雪が人に当たったり、落ちた雪に埋まって窒息してしまったりするリスクがある」と指摘し、雪が積もった屋根の軒下にはできるだけ近づかないように呼びかけています。
また、雪の重みによる倒木で停電や孤立が引き起こされる可能性もあるとして、注意を呼びかけています。
林官房長官は6日午前の記者会見で「自治体などと緊密に連携して情報提供やライフラインなどの確保に向けた対策に努める。積雪はさらに多くなるおそれがあり、大雪や猛吹雪による交通障害に警戒するとともに大雪が予想される地域では不要不急の外出は控え、予定の変更も考えてもらいたい。除雪作業は1人では行わず、家族や近所の人に声をかけるなど、事故防止に十分に注意してほしい」と述べました。