欧博愛媛今治 山林火災 市長「延焼はコントロール」現場周辺は雨に

愛媛県今治市で起きた山林火災は一時期と比べて火は弱まっていて、市は「延焼はコントロールできている」という認識を明らかにしました。現場周辺では雨が降り始めていて、消防などが引き続き消火活動を進めています。

今月23日に愛媛県今治市で起きた山林火災は27日午後2時半の時点で焼けた面積がおよそ442ヘクタールにのぼっています。

飛び火による建物への被害も起きていて、今治市ではこれまでに住宅5棟、空き家6棟、倉庫など10棟のあわせて21棟が被害を受けています。

一時期に比べて火は弱まっていますが、依然として各地で白い煙が上がっていて、27日も住民が不安そうに煙を眺める中、消火活動が進められていました。

今治市の徳永市長は27日に開かれた災害対策本部会議で「延焼はコントロールできている」と述べ、延焼が拡大していないという認識を明らかにしました。

消防は、木と木の隙間や土の中に残り火がある可能性があるとして、夜を徹して消火活動を進めています。

この火災で、今治市は長沢地区や朝倉北地区などあわせて5988人に避難指示を出していて、7つの避難所に46世帯60人が避難しています。

また、西条市も楠河地区楠・六軒家に避難指示を出していて、福祉避難所に障害者施設やグループホームの利用者と職員、あわせて123人が避難しています。

気象台によりますと、今治市と西条市を含む愛媛県の東予地方では28日にかけて、山林火災の発生以来初めてまとまった雨が降る見込みで、現場周辺では夕方から雨が降り始めています。

緊急消防援助隊 隊長「雨は鎮圧に向けた非常に大きな要素」

現場で活動している「緊急消防援助隊」の隊長が27日に報道陣の取材に応じ、「延焼の拡大は抑えられている。人海戦術で確実な消火を行い近く鎮圧を目指したい」と述べました。

今回の山林火災で、愛媛県は総務省消防庁に「緊急消防援助隊」の出動を要請し、27日の時点で、広島県と香川県、徳島県、滋賀県、長野県、山口県、大分県、それに大阪市の8つの自治体からあわせて300人余りの隊員が現場に派遣され、消火活動にあたっています。

この緊急消防援助隊を現場で指揮する川本春樹統括指揮支援隊長が27日午後、報道陣の取材に応じ、現在の状況について説明しました。

川本隊長は「けさの時点で延焼の拡大は抑えられている。ただ、一度消えた箇所から再度煙が発生するという状況が見受けられるので、最後は人海戦術で確実な消火を行い、近く鎮圧を目指したい。きょうの雨は鎮圧に向けた非常に大きな要素になると思う」と述べました。

農業用具の多くが被害 男性「再開するか迷う」

今治市で農業をしている近藤重郎さん(76)は、25日、農業用の倉庫1棟と、以前、住んでいて今は空き家になっているという住宅2棟が被害を受けました。

当時、近くにある畑で作業をするために訪れていて、この住宅で昼食を食べていたところ、山から火が上がっているのを見てトラクターなどの農機具を急いで避難させたということです。

その後、火が住宅と倉庫に燃え移り、ポンプなどの農業用具の多くが被害を受けたということです。

27日は午前中から、焼けあとの中から必要なものを探すなど、後片づけに追われていました。近藤さんは「ここは40年あまり暮らしたところで、こんなことが起きるのかという気持ちです。火事の被害を受けて、農業をやめるかもう一度、再開するか迷っています」と話していました。

「火の粉が舞うなか 急いで本尊を運び出した」

山林火災で裏山まで火が迫った寺の住職の親族は「火の粉が舞うなか、急いで本尊を運び出した」と当時の状況を語りました。

およそ1300年前に建立されたという西条市の楠河地区にある世田山栴檀寺は、山林火災が起きた今治市長沢地区の南方向に位置しています。

今月24日の正午ごろには本堂の裏山まで火が迫ってきて、住職や親族が急いで本尊や仏具を運び出し、境内の別の場所に移動させたということです。

住職の娘の田中一代さんは「すぐ近くまで火がどんどん迫っていました。裏山では火の粉が舞っていて突然、大きな火柱も上がり、とにかく一刻も早く安全な場所に移動させようと運び出しました」と話していました。

大規模停電に備え移動電源車を約110台配備

四国電力送配電によりますと、今回の山林火災によって今治市内を通る送電線に影響が出た場合、市内で大規模な停電が発生するおそれがあるとしています。

会社では、停電に備えて、電力を供給する移動電源車を四国各県から今治市に移動させたほか、九州や関西、東北などの送配電会社に対しても派遣を要請していて、27日までにおよそ110台が市内の大型商業施設の駐車場に配備されました。

電源車は1台で100戸から300戸に電力を供給できるということで、今後、停電が起きた場合に避難所や病院、それに住宅地への電力供給に使われるということです。

四国電力送配電松山支社の石村佳子総務部長は「万が一の停電に備えて全国から移動用発電機を集めました。影響が出ないように迅速に対応していきます」と話していました。

2025-04-27 12:09 点击量:2