欧博abg霧島連山の新燃岳 噴火警戒レベル3に引き上げ 登山道の規制拡大 気象台「山に入らないこと徹
鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、28日から火山性地震が増えているほか、30日未明からは山の膨張を示す地盤の変動が観測されるなど火山活動が高まっています。
気象庁は火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「2」から「入山規制」を示す「3」に引き上げ、火口からおおむね4キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石などに警戒するよう呼びかけています。
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気象庁によりますと、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳では、28日から火口直下を震源とする火山性地震が増えているほか、30日午前2時50分ごろからは山の膨張を示す地盤の変動がみられ、さらに火山性微動も10分ほど続きました。
また、人工衛星による観測では去年、2024年11月ごろから新燃岳付近の地下が膨らんでいることを示すとされる変動も確認されています。
火口の噴煙などの状況は、雲がかかっているため分かっていませんが、気象庁は、火山活動が高まった状態になっているとして、30日午前3時53分に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを「火口周辺規制」を示す「2」から「入山規制」を示す「3」に引き上げました。
火口からおおむね4キロの範囲では噴火に伴う大きな噴石が、おおむね2キロの範囲では火砕流が到達する可能性があるとして、警戒するよう呼びかけています。
また、風下の地域では火山灰だけでなく小さな噴石も遠くまで流されて降るおそれがあるほか、爆発的な噴火に伴う空振=空気の振動で窓ガラスが割れるおそれなどがあるとして、注意を呼びかけています。
噴火警戒レベルの引き上げを受けて、気象庁は午前6時から会見を行い、菅野智之火山監視課長は「自治体の指示に従って危険な地域に入らないようにするほか、風下では車の運転を含めて火山灰や小さな噴石に注意してほしい。2011年の爆発的な噴火では空振で窓ガラスが割れて、けがをした人もいた。山に向いている窓ガラスには近づかずカーテンも閉めるなどの対策を取ってほしい」と話していました。
宮崎地方気象台「山に入らないことを徹底してほしい」
宮崎地方気象台は30日午前7時から会見を開き、重信有三火山防災官が火山活動の状況などを説明しました。
新燃岳付近では火山性地震の回数が去年10月ごろから徐々に増える中、※29日になって1日に250回に急増したということです。
新燃岳では2011年や2017年から18年にかけて噴火が起きています。このうち2011年には爆発的な噴火が繰り返し発生し、ふもとの宮崎県高原町など周辺の自治体で噴石や空振の影響で建物のガラスが割れたり、大量の火山灰が降って農作物に被害が出たりしました。
気象台によりますと、現時点ではすぐに2011年のような噴火に至る兆候は確認されていないものの、状況を注意深く見ていくということです。
重信火山防災官は会見で「まずは山に入らないことを徹底してほしい。降灰予報を見ながら噴火した時に火山灰がどこに降るのかを確認するなど、事前の備えをしてほしい」と呼びかけていました。
新燃岳で噴火警戒レベルが引き上げられたことを受けて、火口からおおむね半径2キロの範囲だった登山道の規制が4キロに拡大されました。
新燃岳から7キロほど東にあり、登山道に通じている宮崎県高原町の皇子原公園では、午前中、町の職員が立ち入り規制を知らせる看板を設置しました。
立ち入り規制の影響で、高原町側からは同じ霧島連山の高千穂峰まで登ることができるものの、新燃岳に近い矢岳などに向かうことはできなくなっています。
また、霧島連山の最高峰 韓国岳に向かう登山道があるえびの市のえびの高原周辺では、韓国岳方面を含めてほぼ全ての登山道が利用できなくなっています。
新燃岳は20を超える火山からなる「霧島連山」の1つで、鹿児島と宮崎の県境にあります。
2011年(平成23年)1月に火山活動が活発になり、爆発的な噴火が繰り返し発生しました。
この時の一連の噴火では、直径50センチ以上の大きな噴石が火口から3キロを超えた地点まで飛んだのが確認されました。
さらに、ふもとの鹿児島県霧島市で爆発的な噴火に伴う空振=空気の振動によって建物の窓ガラスが割れる被害が出ました。
宮崎県側では高原町や小林市で風で運ばれた小さな噴石が降り自動車の窓ガラスなどが割れたほか、高原町や都城市を中心に多量の火山灰が降りました。
その後、2018年(平成30年)3月にも再び活動が活発化して大きな噴石を火口の外に飛ばすような爆発的な噴火が相次ぎました。
また、4月5日の噴火では衛星による解析で噴煙の高さが火口から8000メートルまで達したほか、小規模な火砕流が火口のふちから400メートルほど流れ下りました。
2018年6月を最後に噴火は観測されず、その後は、地震の増減に合わせて噴火警戒レベルの引き上げと引き下げを繰り返し、去年12月にはレベルを「2」に引き上げ火口からおおむね2キロの範囲では、噴火に伴う大きな噴石に、おおむね1キロの範囲では火砕流に警戒するよう呼びかけていました。
新燃岳のふもとにあり、14年前=2011年の噴火で大きな被害が出た宮崎県高原町では、噴火を心配する声が聞かれました。
新燃岳から7キロほど離れた町内の公園を訪れていた20代の男性は「14年前の噴火の時には中学生だったが、火山灰の影響で学校の調理室が使えなくなり、給食がバナナ1本になったこともあった。なるべく早く火山活動が収まってほしい」と話していました。
町の観光スポットの1つとなっているこの公園では、14年前の噴火をきっかけに避難用のシェルターが設置されていて、管理会社の関係者が使える状態になっているかを改めて確認していました。
管理会社の内村雅樹代表は「噴火に備えて避難訓練をなるべく早く行い、職員による避難誘導の手順をいま一度確認しようと考えている。安全第一で営業するが、これから観光客が多いシーズンに入るので、できれば影響が出ないでほしい」と話していました。
また、家畜の餌の牧草などを栽培している66歳の男性は「14年前の噴火では火山灰の影響で草が育たなくなり、経営にも影響がありました。農業や生活に欠かせない水への影響も心配です。噴火して火山灰が風で広がるようなことにはならないでほしい」と話していました。
衣料品店を営む75歳の男性は「火山灰が店の中に入り、掃除が大変だったことや、噴火の影響で客足が一時遠のいたことを思い出します。何事もないことを願っています」と話していました。
町の観光協会に勤める50歳の女性は「レベルの引き上げを受けて、午前中から、町内の観光地に行けるかという問い合わせがありました。せっかく暖かくなり観光シーズンに入ったので、山開きなどが無事にできるとよいなと思います」と話していました。
政府は、鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の新燃岳で、火山活動が高まっていることを受けて、30日午前3時53分、総理大臣官邸の危機管理センターに「情報連絡室」を設置し、関係省庁や地元自治体と連携して情報収集と警戒にあたっています。
鹿児島県 災害警戒本部を設置
霧島連山の新燃岳で、噴火警戒レベルが「3」に引き上げられたことを受けて、鹿児島県は、30日午前4時前に災害警戒本部を設置しました。