ミャンマー大地震 “死者2000人超” 軍の報道官 発生から72時間経過 救助続く タイでもビル倒壊

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【NHKプラスで配信中】

《ミャンマーでは》

3月28日に発生したミャンマー中部を震源とするマグニチュード7.7の大地震について、ミャンマーで実権を握る軍の報道官は31日午後、これまでに2056人が死亡し、3900人がけがをしたと明らかにしました。また、270人の行方が分かっていないということです。

NHKの取材班が31日に入った第2の都市、マンダレーでは大型のマンションが大きく崩れ落ち、現地の関係者によりますと、このマンションには、地震のあと、連絡が取れなくなっている日本人が住んでいたということです。日本の外務省は、地震に巻き込まれた可能性があるとみています。

現地では31日午後、生存率が大きく下がるとされる、発生から72時間が過ぎました。首都ネピドーや北西部ザガインを中心に被害が大きかった地域でも倒壊した建物のなかに多くの人が取り残されているとみられ、懸命の救助活動が続けられています。

マンダレー 仏教寺院に多くの住民が避難

マンダレーでは、仏教寺院に多くの住民たちが避難してきています。地震で自宅が壊れ、住めなくなった人や揺れを恐れて避難してきた人たちが多いということで、この寺だけで避難者の数は1000人以上にのぼるということです。

日中の最高気温が40度近くにまで上がる中、住民たちは、寺の敷地内の広場にテントをはるなどして暑さをしのいでいました。水や食料は、寺や支援者から配られていますが、避難がいつまで続くのか見通しは全く立たないということです。

また、軍と民主派勢力側との戦闘を逃れて、去年から寺の施設に滞在していた人たちもいて、そのうちの1人の女性は「せっかく戦闘地域から避難してきたのに、寺の施設に住めなくなり、外で寝泊まりしなければならない状況です。食料なども足りていないので、困っています」と話していました。

マンダレー 11階建てマンション倒壊

ミャンマー第2の都市・マンダレーの中心部では、11階建てのマンションが建物の一部を残して大きく崩れ落ちています。マンションは4棟あり、多くのミャンマー人や外国人が取り残されているとみられていて、現地の関係者によりますと、このマンションに住んでいる日本人1人と、連絡が取れなくなっているということです。

日本の外務省は、地震に巻き込まれた可能性があるとみて、現地の日本大使館からミャンマー当局に対し、捜索・救助の要請を行っています。

現場では、ミャンマーと中国の救助隊のほか、地元のボランティアも加わって、がれきの中に取り残されている人たちの救助活動が進められています。隊員たちは、がれきの上にのぼって捜索を進めていて、現場の周辺では、家族と連絡が取れなくなっている人たちが不安そうな表情でその様子を見つめていました。なかには、泣きながら家族の名前を叫ぶ女性の姿もありました。

21歳の娘と連絡が取れないという母親は「もう地震から4日目となり、望みは少ないかもしれません。それでも、がれきをなんとか取り除いてくれれば、娘が生きて出てくるかもしれないと、信じています」と涙を流しながら話していました。

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マンションから救助された祖母と孫

ミャンマーの地元メディア「イラワジ」は31日、動画投稿サイトに一時、このマンションの中で閉じ込められていた76歳の女性と、その孫にあたる16歳と13歳の姉妹2人が救助される前に自分たちで撮影したとする動画を投稿しました。

動画の中で、3人は崩れ落ちた天井や壁などのわずかなすき間に身を寄せ合うように座り、救助を待っている様子がおさめられています。また、孫の1人が物音を立てて「助けて、お願い」と声をあげ、助けを求めている姿も確認できます。

3人はこのあと、無事にがれきの中から救助されたということで、「イラワジ」は姉妹の父親が自身のSNSに投稿した文章もあわせて紹介しています。文章には「私の母親と、2人の娘が倒壊した建物の中から生きて救助された。押しつぶされた建物から家族が救助され再会できたのは、助けてくれた人々のおかげで、感謝したい。連絡が取れなくなっているほかの人たちも早く見つかることを願っている」と記されています。

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倒壊したマンションの衛星画像では

マンダレーを去年4月に撮影した衛星画像には今回、倒壊したマンションが写っていました。4棟がつながった形で長さ100メートルほどのマンションが池のほとりに建っているのが確認できます。

一方、今回の地震の翌日、29日の衛星画像では、マンションの西側の3棟が南側に大きく傾いて倒壊し、上層階が激しく崩れている様子がわかります。また、周辺ではがれきとみられるものが散乱している状況も確認できます。

救助活動が続くマンションを紹介するフェイスブックのページには、建物内にある会議室やイベントなどを開くことができる屋上のスペースなどの写真が掲載されています。また、英語による説明では屋上プールやジムがあり、耐震構造になっていると書かれています。

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マンダレー 倒壊建物から生後16日の赤ちゃん救助

ミャンマーの地元メディア「イラワジ」は、動画投稿サイトに、マンダレーで倒壊した建物の中に家族とともに閉じ込められていた生後16日の赤ちゃんが地震の発生から、およそ24時間後に救助された際に撮影されたとする動画を公開しました。動画では、赤ちゃんの鼻にチューブが取り付けられ、救助隊員がティッシュのようなもので赤ちゃんの顔を優しく拭く様子が写っています。

「イラワジ」によりますと、赤ちゃんはけがもなく無事だということですが、一緒に閉じ込められていたほかの8人の家族は全員が亡くなったということです。

【動画・マンダレー】 山香道隆記者リポート(1分02秒)

私は、最も被害の大きいマンダレーの中心部にいます。市内では、多くの住宅や商店などの建物が大きく倒壊し、崩れ落ちた外壁や天井などが辺り一面に散乱している様子が確認できました。

先ほど、連絡が取れなくなっているという日本人が住んでいたマンションの倒壊現場を取材しました。

ここでは、朝から地元当局などががれきの中に取り残されている人の捜索や救出活動を続けていました。ただ、関係者に話を聞くと、クレーン車などの大型機械が不足していて作業は難航していると言うことです。このため、手作業でがれきを取り除きながらの活動も余儀なくされていると話していました。

また現場では、通信状況が安定しておらず、電話やインターネットがつながりづらく、救助活動にも影響しているとしています。現場では、懸命な救助活動が続いています。

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北西部 ザガイン“8割の建物が被害 多くの犠牲者”地元メディア

ミャンマーの地元メディア「イラワジ」は、今回の地震で大きな被害を受けた北西部のザガインで撮影されたとする動画や画像を動画投稿サイトで公開しました。映像には通り沿いに建ち並んだ商店などの建物が大きく崩れがれきが散乱している様子や、暗闇の中、ライトで照らしながらがれきを素手で取り除いて閉じ込められている人を捜索する様子も写されています。

「イラワジ」によりますと、ザガインでは、8割の建物が被害を受け、倒壊した建物の中に多くの人が閉じ込められているということです。また、一部の救助隊はザガインに到着しているものの、道路も亀裂が入るなど大きな被害が出ているため、移動に時間がかかり、救助活動が始まっていない現場も数多くあるということです。

一方、犠牲者が増えるなか、地元の火葬場には次々と遺体が運び込まれているものの、対応することが難しい状況になっていると伝えています。

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国連機関 現地代表「治安や衛生環境の悪化 懸念される」

国連のIOM=国際移住機関、ミャンマー事務所の望月大平代表は31日、NHKのオンラインインタビューに応じました。この中で望月代表は、大きな被害が出ているミャンマー第2の都市、マンダレーの状況について「行き場を失い、公園や路上で寝泊まりする人たちも増えており、治安や衛生環境の悪化が懸念される」と指摘しました。

そのうえで「ミャンマーでは、長引く戦闘などにより、すでに300万人以上が国内避難民となっており、今回の地震で、さらにぜい弱な立場に置かれるおそれがある」と述べ、国際社会の支援を求めました。

IOMの現地事務所では、およそ200人のスタッフのうち4分の1が震源に近いマンダレーなどで活動していて、自宅が被害を受けた人もいるということですが、事務所で避難生活をしながら被害状況の調査や支援物資の手配などを続けているということです。

一方、望月代表は、今回の地震を受けてミャンマー軍から国連機関などに対して支援を要請する文書が届いたことを明かしたうえで「異例なことで、どれだけ被害が甚大なのかを示している。これまでの活動では、軍による規制が厳しく支援の遅れにつながったこともあるため、どこまでアクセスが可能になるかが重要なカギになる」と話しています。

WHO マンダレーとネピドーの病院に医療物資

WHO=世界保健機関は30日、マンダレーと、首都ネピドーにある病院におよそ3トンの医療物資を届けたと発表しました。この医療物資は最大都市ヤンゴンの拠点に備蓄しておいたものを搬送したということで、現地で撮影された写真には、WHOのシールが貼られた物資がトラックに積み込まれ、輸送される様子が写っています。

WHOは現地の病院の様子について「医療が必要な何千人ものけが人であふれかえっている」としていて、けがの治療に必要な医薬品のほか輸血や麻酔のための資材、それに、安全な水などが不足しているということです。

また、今回、けが人を野外で受け入れるための多目的テントも搬送したということです。地震の被害の全容について、WHOはまだ明らかになっていないとする一方「死傷者は地震で建物が大きく壊れたマンダレーとザガイン、ネピドーの都市部で最も多くなる可能性が高い」としています。

林官房長官「日本人の保護に万全を期していく」

林官房長官は31日午前の記者会見で「日本人の被害は現時点でミャンマーのマンダレーで2人が負傷したことを現地の大使館が確認しておりできるかぎりの支援を行っている。またマンダレーの崩壊した建物に住んでいた1人と連絡が取れておらずミャンマー当局に対し捜索救助を要請している。このほかにも日本人に被害がないか確認中だ」と述べました。

その上で「日本人の安全は最優先の課題であり引き続き、余震に対する注意喚起を含め日本人の保護に万全を期していくとともに、ミャンマーの人々と共にあるとの観点からしっかり対応したい」と述べました。

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《タイ バンコクでは》

今回の地震では、隣国のタイでも被害が出ています。
首都バンコクでは地震で建設中の高層ビルが倒壊し、地元当局によりますと、これまでに少なくとも11人が死亡し、70人以上と連絡がとれなくなっているということです。72時間が過ぎたことで行方不明者の家族からは悲嘆の声がある一方、「まだ諦めません」と話す人もいて、地元当局はまだ生存者がいる可能性はあると強調し、引き続き救助活動に全力を挙げるとしています。

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高層ビル中心に住宅被害 日本人の住民は

バンコクでは高層ビルを中心に住宅の被害が多く出ています。3年ほど前から47階建てのマンションの13階の部屋に住む藤堂高直さん(41)の自宅では今回の地震で、部屋のかべには大きなひびが多数入りました。

藤堂さんは現地の大学で建築を教えているということで「地震は日本で慣れていたが、こんなにダメージがあるんだなとショックを受けた。建物の構造部分には影響が及んでいないので、住むのには問題ないと思い、生活を続けている」と話していました。

また、マンションのろうかの天井や壁にも大きな亀裂が入っているところが多くあり、エレベーターは修理が必要なため5基あるうち、3基が今も動かなくなっているということです。マンションの担当者からは「点検の結果、建物の構造自体には問題が確認されなかった」という通知が届いたということです。

藤堂さんは「余震が来たら亀裂がどんどん広がっていくと思うので、怖いところはある。今、どうこうできることではないので、生活に必要なものは、かばんにまとめている」と話していました。

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建物の耐震性不安広がる 首相“冷静な対応求める”

バンコクにあるタイ政府の省庁や裁判所が入る総合庁舎では、現地時間の午前10時ごろ、地震の揺れを感じたとか、壁や柱に新たな亀裂が確認されたといった話が広がり、多くの人たちが建物の外に一時避難する事態となりました。その後、庁舎を管理する政府は建物を点検したところ、新たな亀裂やひびは見つからず、新たな地震も起きていないとしています。

これまで比較的、地震が少なかったタイでは、市民の間にいまも不安や動揺が広がっていて、こうした騒ぎは、バンコクのオフィスビルや病院など各地で起きています。タイのペートンタン首相は「当局が発表する正確な情報を確認してほしい」とSNSに投稿して、国民に冷静な対応を求めています。

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【動画・バンコク】小田真記者 リポート(1分15秒)

Qタイの首都バンコクの現場でも救助活動が続いています。現場には、小田記者がいます。最新情報を伝えてください。

小田記者
「後ろに見えるのが、倒壊したビルの現場です。これまでに11人の死亡が確認され、いまも70人以上と連絡がとれておらず、懸命の捜索活動が続いています。発生から72時間が過ぎ行方不明者の家族らからは『生きて見つかると信じたいが、最悪のことも考えています』という悲痛な訴えが聞かれました」

Qバンコクには5万人以上の日本人が暮らしていますが、生活にも影響が出ているのでしょうか?

小田記者
「これほどの地震が起きることはほとんどなく日本人の間でも影響が広がっています。私はきょう、日本人の子どもが通う保育施設を取材しましたが、今後の地震への不安などから一時帰国を検討している家庭も出ているということでした。子どもたちの多くが地震自体、これまで体験したことがなく、ショックを受けている子どもも少なくないといいます。こうした精神面のストレスをどのように解消していくのか大きな課題となっています」

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バンコク 日本人保育施設 余震不安から一時帰国検討の家庭も

バンコクに住む日本人の子どもたちが通う保育施設では、今月28日の地震発生後、初めての登園日となりました。施設には大きな被害がなかったということですが、31日は登園しなかった子どもがいたほか、余震への不安から一時帰国を検討している家庭もあるということです。

施設によりますと、初めて地震を体験した子どもが多く、地震発生時には驚いて泣き出す子もいて、園内に設置されたカメラの映像には、スタッフが子どもたちを机の下に誘導する様子が映っています。この施設では、地震でけがをした子どもはいなかったということです。

保育施設の菅原香織園長は「地震の直後は涙を流す子もいたが、きょうは多くが笑顔で登園していました。ただ、自宅が損傷した家庭ではまだ不安を抱える子もいます」と話していました。施設では子どもたちの心のケアが課題だとして、今後、コミュニケーションを密にとるなどして安心感を与えていきたいとしています。

2025-04-05 20:48 点击量:8